不動産鑑定士とは

不動産鑑定士とは

不動産鑑定評価について

不動産鑑定士によってなされる不動産の市場価値や経済価値の評価

 不動産鑑定士とは、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいて、国家試験に合格し、一定期間の実務経験を経た上で、国土交通省に登録された、不動産の価格判定や適正利用に係るアドバイスを行う専門家です。
 不動産鑑定評価は、「適正な地価」の判定のみならず、その評価対象は多岐に亘ります。一戸建ての評価、自社ビル・テナントビルの評価をはじめとした複合不動産の価格評価のみならず、家賃や地代といった賃料評価、立ち退きに伴う立ち退き料の評価など、不動産にまつわる権利関係すべてに及びます。
 また、国民のインフラとして公共性の高い、国や都道府県が実施する「地価公示」や「都道府県地価調査」、国税局が行う「路線価標準地の評価」、各市町村が行う「固定資産税標準地の評価」などにも携わっています。その他にも、公共用地取得のための評価や裁判上の評価なども行います。

報告書の種類について

<不動産鑑定評価書>

 不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価であり、適用可能な手法は全て適用し、最も精度の高いものとなります。通常、鑑定評価といえば、この不動産鑑定評価書のことを指します。公的機関(税務署、裁判所など)に提出するためには、一般的に最も説得力の高い、この不動産鑑定評価書が必要となります。

鑑定評価書サンプル.pdf

<不動産価格意見書>

 不動産鑑定評価書をやや簡略化したものであり、一部手続きの割愛等を行っている場合がありますが、概ねの価値の把握が可能です。説得力については、鑑定評価書にやや劣りますが、料金が鑑定評価よりも安く、公的機関等の第三者に提示する必要まではなく、社内稟議の参考資料として必要であるといったような場合に有用です。

価格意見書・調査報告書サンプル.pdf

<調査報告書>

 不動産の価格以外の調査報告書であり、いわゆるコンサルレポートのようなものになります。例えば、物件調査報告書、市場分析報告書、収益性診断報告書、建物残存耐用年数診断報告書等、ご要望に応じて、専門家としての意見をとりまとめ致します。

価格意見書・調査報告書サンプル.pdf

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活用場面

売買・交換に際して

社内稟議
不動産鑑定評価書・調査報告書は、売買を円滑に成立させるための交渉材料として社内稟議や決裁資料として利用頂けます。

交換取引
税務上、不動産の交換を行う場合、その価格差が20%以内でなければならないといった基準があります。このような場合、この基準を客観的に満たす証明として、不動産鑑定評価書が役立ちます。

同族間売買
法人とその役員との不動産の売買・交換、同族会社関連での売買・交換は税務上厳しい目にさらされます。このような場合、鑑定評価書があれば、対税務署対策として安心できます。

相続に際して

遺産分割
不動産は、金額が大きいにもかかわらず、その客観的な相場が把握しにくいため、親族間で争いとなる可能性があります。客観的な不動産鑑定評価書があれば、公平な相続財産の分割をすることができます。

路線価方式
相続税は路線価方式により算出されることが多いですが、路線価は、標準的な画地を想定しており、崖地や旗竿地等の特殊画地については、本来の価値より高く評価され、税額の負担が過大となる恐れがあります。

事前相談
相続財産の鑑定評価につきましては、あらかじめ税理士様とも情報交換させて頂いたうえで、事前に無償にて時価査定を行い、その効果の見極めを行います。

法令上の要請について

現物出資
不動産による現物出資をする場合、不動産鑑定士による不動産鑑定評価書を添付のうえ証明した場合には、検査役の調査を省略できるなど不動産鑑定評価書を取得することが一般的です。

減損会計
企業が保有する資産の収益性の低下により減損処理を行う必要がある場合、減損額を適切に把握することは容易ではなく、この場合、客観的な資料に基づいた不動産鑑定評価書が有用となります。

賃貸等不動産の時価評価
企業が保有する一定規模の賃貸等不動産については、企業会計上、不動産鑑定士による鑑定評価が義務付けられています。

賃貸借に際して

店舗賃料
店舗ビルや倉庫等の家賃については、共同住宅やマンションとは異なり、不透明性が漂います。このような賃料の決定については、貸手も借手も納得する賃料が必要であり、専門家による評価・調査が有用です。

新規地代
近年、幹線道路沿いに定期借地権を設定して店舗を出店させる場合も多くなっており、このような場合、必要となるのが地代ですが、これについては個別性が強く、専門家による評価・調査が有用です。

継続賃料
不動産鑑定評価では、現時点の適正賃料(新規賃料)のみならず、現時点までの当事者間の事情を鑑みた双方にとって適正な賃料(継続賃料)の算定も行います。これは、訴訟等の資料としても利用できます。

特殊な権利について

借地権
借地権は、その地域性や、支払地代、経過期間・残存期間等によって価格が大きく異なってくるため、対外的に借地権価格を提示する場合、不動産鑑定評価書が不可欠と思われます。

底地
借地権が設定されている底地についても、その借地権が、一般的な借地権か、事業用の定期借地権かなどによって価格水準が大きく変わるため、借地権と同様に、簡易に価値を把握することは困難です。

立退き料
建物の賃借人に対して立ち退きを迫る場合の立退き料の把握は容易ではありませんが、不動産鑑定士は、当事者間の諸事情も鑑みた上で、可能な限り客観的な査定を行います。